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孤独な夢想者の散歩

交通費を浮かす窮余の策で、四条河原町からの帰りを歩くことが多くなった。 歓楽街に始まり、文教地区に至る。30分と少しの道のりだが、流れていく風景には、この街のすべてが映っている。クルマ社会で人生の大半を送ってきたけれど、いやそれだけにだろうか…

千年の愛人 —田舎者と7年目の京都—

さて、愛人というのは身分なんだろうか、それとも、職業なんだろうか。そもそも、いつごろからある言葉なんだろうか。 「妾」という日本語もあるし、そもそも「愛人」は中国語では「恋人」という意味の言葉だ。これはなんだか変だ。 いや、今は「愛人とは何…

寝たけれども寝たけれども

ねないこ、だれだ? 私である。 コタツだの学部棟だのでは自由自在に意識を飛ばせるのに、どうしてベッドという本来寝るべき空間ではなかなか寝付けないのか。 気になって夜も眠れない。 寝付きが悪い癖に、寝始めると長くて、しかも睡眠不足が露骨にパフォ…

悲しきイエスマン

お前のどこがイエスマンなんだ、基本何かと喧嘩してるじゃないか。早速そんな声が飛んできそうだ。 ところがどっこい、今日の私はまごうことなきイエスマンだった。何を言われても、何を聞かれても「はい」「はい」と応じるばかり。自分の意見を言おうにも、…

ある正月のスケッチ

我が家の初詣は正月の2日、日光に行くのがお決まりとなっている。 田舎者なのでどこかへ行くというと迷うことなく車であって、ハンドルを握っているのは、始めから終わりまで父だった。近年は私が免許を取ったために、少しずつ不肖の長男に運転席を譲りつつ…

出がらしの煎茶はふるさとの味

「朝茶は一日の難逃れ」という言葉は、生活の作法として幼少の頃より仕込まれてきた。実際は朝食にトーストが出たりすると朝茶がホットコーヒーになったりするわけだが、それでも休日の朝は、たいてい食後に煎茶が出てくる。 朝日と共に就寝する生活が久しく…

置い読(とく)という愉しみ

独り暮らしの家にしては本が多い方なのではないか、と勝手に思っている。 図書館というものと折り合いが悪く、昔から本は買って読んでいた。親も本と言えばかなり融通を利かせてくれたので、本屋に連れて行かれる度に、何時間もかけてどれにしようこれにしよ…

ガートルードの焼き肉

田舎者なので、都市や街を見るとき、自然と「ここは車社会かどうか」ということを考えている。地元である栃木は典型的な車社会だし、そうかと思えば大阪市などは、マイカーなどは持て余してしまいそうな雰囲気がある。 さて、ここ京都はどうかと言えば、いわ…

不信心音楽鑑賞

さる先輩の方からご案内を頂き、室内楽の演奏会に行ってきた。 お恥ずかしい話だが、クラシック音楽の演奏会などに携わっていながら、実際のコンサートに足を運んだ経験というのが僅かにしかない。率直に言って、「敷居が高い」のである。 私の周りは環境と…

朝と夜の間で

朝ご飯を食べ、昼ご飯を食べ、夜ご飯を食べる。最近の私の生活を大づかみに説明すると、大体こんな感じになる。 こういう言い方をするとさも真っ当な日々を暮らしているかのようだが、それは目と鼻と口があるからといって、私が佐藤浩市と同じであると結論す…

巡り逢いたい仇

浪人1「金は仇じゃ」 浪人2「げにも」 浪人1「ところで、久しく仇に巡り会わない」 落語の小話でこんなものがある。 偶然なことに、私も仇に巡り会わない。それどころか、「チケット代」とか「団費」などといい、仇のほうから私を避けていってしまう。堂々と…

風邪の便り

葵祭が終わったあたりが京都の初夏の終わりで、日差しは日に日に本気を出し始める。もう少しすると疎水に蛍が現れて、それが梅雨入りの非公式宣言である。 季節の変わり目は情緒にばかりではなく、物理現象として肉体にも訴えかけてくる。 季節の谷間毎に、…

純粋餃子批判

栃木県宇都宮市。私が産まれ、大学進学までの18年を過ごした。 北関東最大の都市であり、その高度な文化水準と発展ぶりは、まさに私が体現している通りである。帰省するたびに店が消え、人々の姿はまばらとなり、駅前のロータリーには族車が群れを成している…

バイト代

学会バイトのお給金を頂いてきた。別にえらい先生の接待をするでもなく、ペーペーの私は口頭発表のタイムキーパーを仰せつかっただけなのだが、鐘を鳴らして金が出てくるならこれほど温いことはない。 学問への信心が薄い不心得者なので、実は学会なるものに…

深夜のブランコ

定期演奏会のチケットを渡すついでに、Kさんとラーメンを食べに行く約束をしていた。 いつものように北部キャンパスで待ち合わせて、とりあえず北へ向かう。どこへ行くかは約束の段階でとっくに決まっているか、でなければ何一つ考えていない。今日は後者な…

言葉の中身

5月来箱が終わった。表の期の短さが、6回生にもなってようやく実感されてきた。言葉の上では知っていたつもりなのに。 パートが若返ったのと、あとは在洛のお年寄りが少なくなったのとで、こともあろうに私(前中乗り)がメインへのコメントをする立場になって…

月というのは情緒の向かう先である一方、西洋文化の文脈では、むしろ「狂気」と結びつけられる。狼男は満月の夜に変身するし、シェークスピアも、男の愛の不実を月の満ち欠けになぞらえている(でも欠けたってまた満ちるんならそれはそれでいいんじゃないかな…

実験

厨二病、なんて言葉が市民権を得たのは一体いつの頃からなんだろう。自分にもご多分に漏れずそうした時期はあったのだけれど、もう「つい最近のこと」だとは到底言えないようなところまで来てしまっている。 今でも「前略プロフィール」とか、あの手のサービ…